まずはウォーム・アップから始めましょう! モータースポーツ医学は、モータースポーツに関わるすべての人間科学を研究する学問です。一般のスポーツ医学がスポーツ外傷の治療を中心としているのに対し、モータースポーツ医学では外傷の原因となるアクシデントの予防が最も重要なテーマとなっています。
モータースポーツ医学の取り扱う問題
1 ドライバーの健康管理
日常的な健康管理、病気や怪我への対応
2 ドライバーのパフォーマンス向上
栄養、トレーニング、コンディショニング
欧米においてはモータースポーツドクターが選手の日常の健康管理やトレーニングの相談にのっています。常に最先端の知識を導入するためには、専門のドクターの存在が欠かせません。
3 ドライバーの安全
マシンの安全構造、ウェアやヘルメットなどの安全装備
レース中のアクシデントから発生した外傷を検討することにより、安全のための装備を見直します。マシンの速さやコストも考慮しなければならないチーム側とは異なり、医学的な視点からこれらの問題を追求します。
4 レースの安全
レーサーの健康診査、サーキットの構造、
緊急時の管理体制、救急医療体制参戦ドライバーの健康診査も重要な仕事です。体調不良の選手を参戦させることは、レースに関わるすべての人を危険に陥れる可能性があり、誰の利益にもならないからです。参戦するカテゴリーに見合った体力がないと判断された選手に対して、参戦の中止を勧告することもあるそうです。また、レースを開催する主催団体やサーキットに対して、安全面からの様々な指摘を行い、ハードとソフトの両面について改善を要請します。
5 サーキット安全
働くスタッフの健康と安全、観客の健康と安全
レースが安全であれば、サーキットで働くスタッフも安全です。
サーキットで働くスタッフは、排気ガスと熱と騒音による健康被害にさらされています。職業環境としてのサーキットの安全性も検討されるべき課題のひとつです。
その他、サーキットではコースから飛び出す様々なものにより、観客が負傷することもあります。これらの問題への対処、検討もモータースポーツドクターの仕事です。6 レースから得られた医学的知識を社会に還元する
運転の生理学的研究、運転の心理学的研究、
交通外傷の予防、その他の自動車安全私達はレースを通して様々なことを勉強することができます。それらの知識を社会に還元していくのもモータースポーツドクターの仕事です。レースにおける外傷を医学的に検討することにより、自動車安全の技術や知識の進歩に貢献しています。
このHPでは主に2に関わる情報を取り上げていきます。今後、日本のモータースポーツや車文化がもっと社会に広く受け入れられていくためには、むしろ4以後の項目が重要かもしれません。ドライビングに関する科学的知識を一般社会にフィードバックしていくのも、モータースポーツドクターの大切な役割です。これによって、サーキットの内外を問わず、本来失われずに済むはずの命をひとつでも救うことができれば、ドクターとしてこれ以上の喜びはありません。
2000.03.20