レース前日まで
体造りやエネルギー貯蔵のための食事は24〜48時間前までに終了し、それ以後は当日のパフォーマンスを最大に発揮するためのコンディション作りに入ります。それ以前の食事は、これまで(レーサーの食事1〜4)に述べた様な内容でプログラムします。
コンディション作りに必要な時間は、それぞれの選手の胃腸の機能や調子などにより異なります。自分に最適の時間をみつける様にします。
この場合の「レース」とは、決勝レースのことだけでなく、予選やフリー走行を含みます。ただし、予選やフリー走行では、決勝レースほどの厳密なコンディショニングは必要でないこともあります。その辺も各人の体力や胃腸の機能によって異なりますので、自分の身体にあった調整法を考える必要があります。
レース前3時間まで
レース前24時間の食事の目的は、栄養を取り入れるためというよりはむしろトラブルを回避することにあります。パフォーマンスを低下させるようなトラブルの発生を避けるため、ドライバーは自分が口にするものすべてに対し、細心の注意を払わなければなりません。
- 深呼吸できる程度・・・腹八分目というのは一般の食生活にも言われることですが、これも大切です。あまり満腹というのはよくありません。
- レースの2〜3時間前には食事(まとまった食事のことです)を終了する・・・レース走行(予選やフリー走行を含む)の際には、胃の内容物が無くなっていることが大切です。そのために、レース前2〜3時間以内には食事を取ってはいけません。
これは、レース中の事故により呼吸が困難となり、気道を確保しなければならないような状態に陥った場合、胃の中にものが入っていると救命が困難になる可能性があるからです。ドライビングには直接影響しなくても、必ず胃の中を空にしておく必要があります。
食べ物が胃の中を通過する時間は、それぞれの人の胃腸の機能にもより、また、食べたものの種類や量にもよります。まず、2〜3時間をみれば普通は大丈夫でしょう。- 消化の良いもの、炭水化物を中心にする・・・消化されやすくエネルギーとして利用されやすい炭水化物を中心にします。レースの最中に胃腸に食べ物が残っていると、消化のために多くの血流やエネルギーを必要とし、本来ドライビングのために使うべきエネルギーを浪費することになります。
- タンパクや脂肪の多いものは避ける・・・タンパクや脂肪の多い食べ物は消化が悪く、胃腸内に長く残りますから、レースの日には避ける様にします。
- 香辛料の強いものを避ける・・・胃腸を強く刺激するために、かえって腹痛の原因となったり、レース中の胃腸粘膜からの水分吸収を悪くしたりします。
- 甘みのある糖分の摂取を控える・・・甘みの強い糖分(砂糖類、チョコなど)はインシュリンの分泌を一過性に過剰にして、かえって血糖を下げることがあります。
- 食べ慣れたものを食べる・・・ふだん食べたことのないものは避ける様にします。万が一その食品が体質に合わない場合、激しいアレルギー反応が起こると、呼吸困難や激しい嘔吐・下痢、ひどい場合にはショックを生じる可能性もあるからです。
- 食べると元気の出るものを食べる・・・精神面でのコンディショニングという意味では、好きな食べ物を食べて、気分的に元気になるのも良いことです。
- サプリメントを控える・・・前述の通り、こうした補助食品には、すべての組成物質が明らかにされていない食品が少なくありません。たとえ組成が明らかであったとしても、それらの化学物質がレース中の極限状態においてエネルギー代謝にどんな影響を与えるのか、不明の部分が少なくありません。またドーピング反応陽性の危険を避ける意味でも、こうした食品はなるべく避ける様にしましょう。
レース直前まで
レースの2〜3時間前までに食事を終了した後は、完全にコンディショニングに専念します。
- レース直前の1時間は固形物は食べない・・・上述の通り、レース走行(予選やフリー走行を含む)の際には、胃の内容物が無くなっていることが大切です。レースの直前1時間以内には、固形物(形のある食べ物)は取らない様にします。それまでは、クラッカーやトースト、少量のご飯など、消化の良い炭水化物を補食(おやつ)としてとるようにします。
- 空腹を避ける・・・空腹を感じるのは血糖値が低下している証拠であり、その状態では十分な運動能力が発揮できません。空腹を我慢しながらレースに臨んではなりません。そのためにも、レース前1時間までの補食の取り方が重要になってきます。消化の良い炭水化物を中心として、血糖を保つ様にします。
- 十分な水分をとる・・・これについては「水分管理」として後で詳しく述べますが、レース直前まで十分な水分を取ることが必要です。
2002.03.08