前回、レーサーはその身体能力の特性によって4つのグループに分けられることを述べました。
- タイプ1・・パワー(瞬発力)・持久力ともに十分な選手
- タイプ2・・パワーはあるが持久力が足りない選手
- タイプ3・・パワー不足だが持久力のある選手
- タイプ4・・パワー不足で持久力も足りない選手
言うまでもなく、タイプ1の選手がレーサーとして優れていることは当然です。世界の頂点を目指すような選手はタイプ1でなければなりません。しかし、すべての選手が最初っからタイプ1であるはずがありません。それぞれに鍛錬を積んで、ここを目指すのです。
スタートの時点ではすべての選手がタイプ4であるはずです。しかし、ある程度鍛えてもまだタイプ4の選手は、残念ながら頂点を目指すには不向と思われます。しかし、それぞれの能力の範囲内でモータースポーツを楽しむことはできます。自分の体力に見合ったカテゴリーを選んで参戦することが大切です。あるいは地道に持久力を鍛えることにより、タイプ3を目指すことが可能です。
問題はタイプ2とタイプ3の選手です。タイプ1を目指して成長過程にある選手達のほとんどは、この二つのうちのいずれかに該当することでしょう。ある程度のトレーニングを行った場合、パワー優位の選手はタイプ2に、持久力優位の選手はタイプ3になります。どちらのタイプになるかは、それぞれの持っている筋肉の素質によるところが大きく、それぞれの努力や練習によって補うことはできても、これを大きく変えることは難しいのです。
実は、そのままの状態であれば、タイプ3の選手の方が安定して活躍でき、レーサーとしては望ましいと言えます。より低いカテゴリーでは、しばしばこうした選手が活躍を見せるでしょう。しかしタイプ3の選手は、その筋肉の特性から考えて、タイプ1に鍛え上げることは極めて困難なのです。ですから、下のカテゴリーで優秀な成績をあげてステップアップしても、上のカテゴリーではパワー不足となり、成長が頭打ちになる可能性があります。つまり、ある程度以上の速いカテゴリーに進むことは厳しいと言わざるを得ないでしょう。しかし、自分のパワーに見合ったカテゴリーでは、優秀な成績をあげることができます。
F3では速かったがFポンでは振るわない、Fポンでは活躍しているがF1には乗れない、というのはタイプ3の選手にみられる傾向です。
一方、タイプ2の選手は、瞬間的な速さはありますが、そのままではミスやアクシデントの可能性が高く、レーサーとしてはあまり理想的ではありません。しかし、これが成長段階の通過点であるとすれば、タイプ1に脱皮していける可能性を秘めています。タイプ2の選手がパワーを増すことは比較的容易であり、トレーニングの方法を間違わなければ、いずれ持久力も身につけることができるからです。
F1ドライバーになるための素質として、「一発の速さのない選手はダメだ」と言われるのはそういう意味であると考えられます。
このタイプの選手が鍛錬を怠ったり、不注意や無理が体力を上回ったりした場合には、大きなアクシデントに遭う確率が高く、「将来が期待されたのに、事故によって選手生命を絶たれた」ような選手の多くはタイプ2に属すると考えられます。
速さはあるのにミスが多かった選手が、年を経るにしたがって次第に安定性を増し、成績をあげていくケースはよくあります。それがタイプ2からタイプ1への脱皮であり、大きく飛翔する選手には欠かせない通過点ということができるでしょう。
結論として、目先のレース結果を重視するなら、レベル1またはレベル3の選手を起用するべきでしょう。また、将来性を見越して選手養成するなら、タイプ2の選手を起用してタイプ1に鍛え上げるのが最良と思います。
2001.01.31