選手の発揮する力
さて、選手はそれだけの力を求められているわけですが、レース中の選手はどんな風にその筋力を発揮することができるのでしょうか?選手の発揮できるパワーと、レースに必要な力との関係を図に表してみましょう。選手の発揮できるパワーをオレンジの線で示します。
選手の発揮する力は、少なくとも各周回で「1周を走りきるために必要な力」を上回っていなければなりません。(つまり長方形より上方に線がくる)そうでない選手は、ラップタイムが明らかに遅くなります。
選手の瞬間的に発揮できる最大のパワーを100%とすると、2〜3周目以降のパワーは多少なりとも低下します。有酸素運動の最大のパワーは、無酸素運動による最大のパワーよりも5〜8%低下するのが普通だからです。したがって、有酸素運動が十分に鍛えられた選手でも、運動開始後3分を経過すると92〜95%の力しか発揮できません。
有酸素運動がうまく機能している(十分な酸素が供給され、十分な血液が筋肉に送られて、グリコーゲンの貯蓄も十分にあり、脱水を来してもいない)間は、この92〜95%のパフォーマンスを長く保つことができます。(→有酸素運動の持続閾値)
問題は、これをいつまで保つことができるか、ということです。少なくともレース時間の間、四角の上側に線のあることが大切です。
図の(1)のように、レース終了時まで全くパフォーマンスの低下をみないのが理想的です。そういう選手は、レースの最後までチャンスを活かして戦うことが可能です。マシンから降りてきたときにもまだ元気があり平然としています。
実際には、レースの後半には多少なりともパフォーマンスの低下する選手がほとんどです。(2)のように、線が四角の中にかかってしまうと、体力的な厳しさから積極的な走りができなくなります。また、精神的な余裕がなくなってミスが起こりやすくなります。反射神経や判断力も鈍ってくるため、アクシデントに巻き込まれやすい状況となります。できるだけ、右上の三角(褐色のところ)の面積を小さくするように努力しなければなりません。
いったんパフォーマンスが低下し始めると、マシンを降りて休憩しない限り、根本的に回復することはありません。ほとんどが燃料の枯渇や脱水によるものですから、集中力によって一時的に改善はできても、それがさらに乳酸の増加を招いたりして、トータルのパフォーマンスを悪化させます。したがって、有酸素運動の持続閾値を超えると、どんどん右下がりにパフォーマンスは低下していきます。(3)のようになってしまうと、レースの後半はラップタイムが明らかに遅くなり、ずるずると後退するばかり。単独でもスピンなどの失敗をおかす可能性が大きくなり、リタイヤの確率も高くなるでしょう。こういう選手は、たとえ予選のタイムが速くても、レースでは十分な活躍ができません。
☆ポイント☆ レース終了時まで、十分なパフォーマンスを維持しましょう
2000.11.16