レーサーに求められる素質とは?

 プロのレーサーになるためには、どのような素質が必要なのでしょうか?

反応の素早さ

 反応の鈍い人がレーサーに向かないのは、誰が考えても当然でしょう。過去の研究において、F1ドライバーは一般競技のトップアスリートや一般のドライバーに比べて、反応時間の短いことが報告されています。F1レベルのトップレーサーには、100m走のスタートダッシュを上回る反応の速さが要求されます。

 特に、複数の選択肢から適切な答えを選ぶような複雑な課題においては、F1レーサーの飛び抜けた反応の速さが実証されています。このように、レーサーは一般的なスポーツの選手に比べても、より素早い反応と判断とを要求されます。

 レーサーは、周りで起こってくる様々な状況変化に対し、即座に反応する必要があります。100m走のスタートのような単純な反応は、反復練習によってある程度速くなることが可能ですが、複雑な課題に対する反応性の速さを獲得するには、多大な努力と豊富な経験、そして生来の素質が必要です。

複数の選択肢からひとつの答えを選ぶのに必要な反応時間

一般のドライバー
0.5〜0.6秒
他競技のスポーツ選手
0.316秒
F1ドライバー 
0.296秒

       

合図によって足ブレーキを踏むまでの反応時間

一般のドライバー 
0.25秒
NASCARドライバー
0.197秒

 このわずか50ミリセカンド(1ミリセカンド=千分の一秒)の時間が、プロレーサーと一般人の大きな差を生み出すのです。

心肺機能

 他に詳しく述べますが、モータースポーツ選手には、一般に思われているよりもずっと高い心肺能力が求められます。一般のスポーツでは、競技中の選手の心拍数は1分間に110〜130回程度ですが、モータースポーツでは120〜180回といわれています。よりレベルの高い(スピードの速い)レースほど選手の心拍数は高く、F1やCARTでは170〜180回で走り続けているという研究結果が出ています。

 この1分間に180回という心拍数は、正常な成人の最大心拍数に近い数字です。つまり、心臓のレヴリミットぎりぎりの回転数でレース距離を走り続けることになります。レーサーは日頃から心臓を鍛えておかなければならないことがおわかり頂けるでしょう。約2時間を走るF1レーサーには、マラソン選手並みかそれ以上の心肺機能が必要です。もしそれが十分でなければ、スローダウンするしかありません。

2000.05.31