循環2

 前回に引き続き、運動時の循環の働きについて考えてみましょう。

血圧

 心臓は血液を送り出すポンプです。

 水撒きなどをする場合に、ホースで水を送るときのことを考えてみて下さい。高いところに水を引いたり、ずっと遠くまで水を送ったりするには、高い水圧で送り出さないと、水がちょろちょろしか出なくなってしまいますよね。また、途中のホースが折れていたりすると、なかなか水が届きませんから、ホースをまっすぐにして流れやすくしてやることも大事です。

 同じように、心臓より高いところに多くの血液を送ったり、末梢までたくさんの血液を送ったりするためには、血圧を高くする必要があります。したがって、運動時には安静時に比べて血圧が上昇します。しかし血圧が高くなると心臓や血管にとっては負担が大きくなります。ですから、なるべく低い血圧で血液を送り出したいのです。そのためには、血流の抵抗を少なくして、血管内の血液の流れをよくする必要があります。

 では、血液の流れをよくするにはどうしたらいいのでしょうか?

血液の粘りを少なくする

 血液の粘りを少なくし流れやすくすることで、血流の抵抗が低くなります。血液の粘りを決定する一番の要因は、血液中に含まれる赤血球の濃度(ヘマトクリット)です。赤血球の濃度が高いほど、血液の粘りは大きくなります。その他に血液中に含まれるタンパクの量や凝固因子なども関係しています。

 血液の粘りを少なくするためには、赤血球の濃度が高くなりすぎないこと、つまり、血液中に十分な水分量が保たれることが重要です。熱による脱水で血液中の水分が失われると、赤血球の濃度が高くなり、血液の粘りが高くなります。レース終了時まで十分な水分量が保たれるためには、熱に対する耐性を高めて水分の喪失を少なくするほか、水分補給などの対策を十分にする必要があります。

 一方、赤血球の濃度が低くなれば血液の粘りは少なくなりますが、赤血球の濃度が低すぎるのは貧血であり、有酸素運動には不利になります。ヘモグロビンの項でも述べたように、赤血球の濃度は適切に保たれることが大切で、濃度が高すぎても低すぎてもいけません。

血管の柔軟性

 運動を行うことにより、血管平滑筋がリラックスしやすくなり、血管の柔軟性や弾力性が高くなります。血管の柔軟性が高くなると、血管抵抗は少なくなります。また、急激な血圧の変化にもより柔軟に対応できるようになります。

毛細血管の増生

 持久力トレーニングを行うことで、筋肉内の毛細血管の量は2〜10倍も増加します。筋肉内の毛細血管が増えると、血液の通り道が増えますから、末梢循環が良くなります。末梢循環がスムーズになると、より多くの血液=酸素を筋肉に届けられるようになり、有酸素的なエネルギー代謝に有利になります。

 このように、効果的なトレーニングを行うことで、筋肉内の毛細血管が増生するとともに、血管の弾力性や柔軟性が増し、より少ない抵抗で多くの血液を効果的に筋肉に送り込むことが可能になります。こうして、トレーニングを開始して4カ月ほどで運動時の血圧は低下し始めます。

☆ポイント☆  トレーニングによって血圧は低下する

2000.08.03