ドライビングと循環の問題はひじょうに大切です。レース中に起こる原因不明の重大事故の一部は心臓発作によるものと考えられています。特にハイレベルなカテゴリーになるほど、心臓に大きな負担がかかります。心臓を十分に鍛えていないドライバーは、レースに参戦すべきではありません。
心拍数
1分間に心臓が拍動する回数を心拍数といいます。
有酸素運動を行うと酸素の需要が高まります。需要に見合った十分な酸素を送るためには、より多くの血液を送り出す必要があります。1回の心拍で送り出せる血液の量が決まっている場合、より多くの血液を送り出すためには、心拍数を増加させなければなりません。
成人の安静時の心拍数は60〜70程度ですが、運動時には120〜180に増加します。ところが、心臓は全身の臓器にだけ血液を送っているのではなく、心臓自身にも血液を送っています。心筋が収縮するために、大量の酸素が消費されているのです。心拍数が多くなるほど、多くの血液=酸素を心臓が消費してしまうため、余分に血液を送り出さなければならず、効率が悪くなってしまうのです。
また、ある程度以上に心拍数が多くなると、1回の心拍で送り出せる血液の量はかえって減少してしまいます。したがって心拍数はなるべく少なく抑えたいのです。そのためには、1回の心拍で送り出せる血液の量(1回拍出量)を増やす必要があります。
トレーニング開始後3〜6週で心拍数は減少し始めます。より少ない心拍数で運動を行うことができると、心筋での酸素消費が少なくてすむのでより効率的です。また長時間の運動を続けても疲れにくくなります。
1回拍出量
効果的な持久力トレーニングを積むことにより、1回拍出量が多くなります。一般成人の1回拍出量は約70mlですが、運動選手では140ml程度に増加し、特に高い心肺能力を持つ選手では180mlもの1回拍出量があります。また、エネルギー産生のために組織で消費される酸素の効率もよくなります。そのため、十分なトレーニングを行っている選手は、より少ない心拍数で運動を行うことが可能です。
心拍数は加齢とともに減少する傾向があります。1分間に心臓が拍動できる最大限の回数を最大心拍数といい、一般に下の式で表されます。20歳の人の最大心拍数は200回、30歳の人の最大心拍数は190回となります。
最大心拍数(回/分)=220−年齢
運動時の心拍数が最大心拍数の何%かということを、運動の強度の目安としていう場合がありますので覚えておいて下さい。
☆ポイント☆ 心拍数が少ない方が疲れにくい
☆ポイント☆ トレーニングによって心拍数は減少する
心拍出量
1分間に心臓が送り出せる血液の総量を心拍出量といいます。
心拍出量(リットル/分)=1回拍出量×心拍数
トレーニングを積むことにより、心拍出量が多くなります。一般の成人の心拍出量は5リットル/分程度ですが、トレーニングをしている運動選手では25リットル/分にも増大します。特に世界のトップレベルのアスリートでは40リットル/分にも及ぶ高いポンプ機能を持つことが知られています。心臓のポンプ機能が大きくなると、エンジンの排気量が大きくなったのと同様に、それだけパワー出力が大きくなり、余裕を持って運動を行うことが可能です。
F1レベルを目指すドライバーは、世界のトップアスリートに匹敵する心機能を備える必要があります。
☆ポイント☆ トレーニングによって心拍出量は増加する
2000.07.25