ヘモグロビン

 今回は、運動とヘモグロビンの働きについて考えてみましょう。

ヘモグロビンの働き 

 肺で取り入れた酸素を筋肉などの組織に運ぶのがヘモグロビンの働きです。ヘモグロビンは赤血球中に存在する色素タンパク(赤色を示す物質)で、ヘモグロピン1個につき4つの鉄分子を含みます。それぞれの鉄分子に酸素が1つずつ結合する形で、計4つの酸素結合サイトを持っています。

 肺で取り込まれた酸素のごく一部は、血液の水分中にとけ込んで運ばれますが、ほとんどの酸素はヘモグロビンに結合して運ばれます。ヘモグロビンは、酸素が豊富なところでは酸素と結合し、酸素が乏しいところでは酸素を放出する性質があります。ですから、肺でヘモグロビンに結合した酸素は、血流に乗って末梢の組織まで運ばれ、そこで放出され利用されます。

 血液中に含まれるヘモグロビンの量が多くなると、より多くの酸素を運搬することが可能です。ヘモグロビンが少ないと貧血の状態になり、運べる酸素が少なくなるので有酸素運動の能力は低下します。ヘモグロビンの材料になるのは鉄分ですから、食事からの鉄分の摂取が大切です。とはいえ健康な人であれば、ふつうに食事をとっていればまず問題ありませんが、成長期の青少年や女性の場合には、激しい運動をすることで貧血になることがありますので、鉄分を十分にとるよう心がける必要があります。

ヘモグロビンを増やす?

 ヘモグロビンは赤血球中に含まれるので、一般的には赤血球の増加=ヘモグロビンの増加と考えることができます。有酸素運動では、酸素の運搬能を高めるために、赤血球=ヘモグロビンを増加させることがひとつの方法として考えられます。

 ヘモグロビンを増やす方法として、高地トレーニングが知られています。これは標高の高いところでトレーニングを行うことにより、低酸素状態に体をさらして、赤血球の産生を増やすのが目的です。同時に、肺での酸素の取り込み効率も改善することができます。

 しかし赤血球があまり多くなりすぎると、血液の粘性(粘り気)が高くなり、細い血管が詰まってしまう可能性があります。心臓や脳の血管が詰まると、急死する危険性もあります。

 モータースポーツの場合は、赤血球数がもともと正常の場合でも、厳しい脱水によって血液の粘性が高まり危険な場合があります。ヘモグロビン=赤血球を増やすことは酸素運搬能の面から考えると有利なようですが、脱水による血液濃縮が懸念されるモータースポーツにおいては、積極的に赤血球を増やす必要はないと思われます。むしろ肺での酸素の取り込みなど、心肺機能の改善を期待して、高い標高に住むことは理にかなっているかもしれません。

 もし貧血傾向がある場合には、心臓への負担も大きくなりますので、すみやかに改善した方がよいでしょう。鉄分の不足による貧血の場合には、鉄剤の内服で治療することも可能です。

☆ポイント☆ ヘモグロビンは多すぎても少なすぎてもダメ