前回も書いたように、筋肉を動かし続けるためには、燃料であるグリコーゲンと酸素が十分にあって、上手くATPがつくられることが大切です。
グリコーゲンの貯蔵
運動の際にエネルギー源となるのはATPであり、ATPをつくるためには血液中の糖分(血糖=グルコース)または筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンが重要です。
血糖は常に一定範囲内の濃さに保たれるようになっていて、血液中にそれ以上の糖分があるとグリコーゲンとして貯蔵されます。逆に、血中の糖分が少なくなると、肝臓のグリコーゲンが分解されて血糖が補われるようになっています。また、血糖は血流に乗って流れてくるものですから、一度に大量の血糖を利用するのは難しく、運動時には筋肉細胞内のグリコーゲンが分解されて使われるようになっています。
グリコーゲンを多く蓄えるためには、炭水化物(米、パン、麺、イモ等)の多い食事をとることが重要です。レース距離を走りきるのに十分な燃料=グリコーゲンを積んでおきましょう。レースの後は筋肉内のグリコーゲンが枯渇(あるいは減少)してしまうので、次のレースまでに十分なグリコーゲンを充足しておく必要があります。このように、ドライバーの食事は「燃料補給」の意味でとても重要です。(ドライバーの食事については決勝(専門講座)で詳しく取り上げる予定です)逆に、いい加減な食事をしていてはパフォーマンスの向上につながらないばかりか、せっかくのトレーニングの成果を台無しにしてしまう可能性もあります。
また、90分を越えるレースでは、グリコーゲンの貯蔵だけでは燃料不足となる可能性があります。このレベルの戦いを勝ち抜くには、燃料グリコーゲンの消費効率をふつう以上に高めるか、脂肪を上手く利用できるようにしておくことが必要となります。そのためには、日頃のトレーニングによってエネルギー消費効率を改善し、激しい運動時にも脂肪代謝を利用できるような心肺機能と代謝能力を身につけておくことが肝心です。
このように、効果的なトレーニングと適切な食事を続けることにより、ドライバーの燃料タンクを大きくし、燃費もよくすることが可能です。
☆ポイント☆ 十分な燃料を積んでスタートしよう
酸素の供給
筋肉に酸素が十分に供給されるためには、十分な酸素の取り込みができること(呼吸機能)、酸素を含んだ血液を十分に送り出せること(心機能)、筋肉内に毛細血管が発達して豊富な血流が得られること(末梢循環)などが大切です。
有酸素運動を行う競技の選手は、体型が比較的細いのが特徴です。100m走の選手に比べると、マラソンランナーはスリムな足をしていますよね。短距離ランナーも長距離ランナーも持っている筋線維の数はほぼ同じですが、長距離ランナーの筋肉は1本1本の筋線維が細いことが知られています。筋線維は、その周囲をとりまく毛細血管から酸素を受け取りますが、筋線維が太いとその中心部まで酸素が行き届かないのです。有酸素運動に適した筋線維(タイプ1)は細いので、それぞれの筋線維が豊富な酸素を取り込むことが可能だといわれています。(短距離の選手は無酸素的な代謝を中心に行うので、筋線維の中心まで酸素が行き届かなくても運動が可能なのです。)
有酸素運動が重要なモータースポーツ選手は、呼吸機能、心機能とともに、末梢循環の機能も高める必要があります。トレーニングによって筋肉内の毛細血管を増やし、筋線維への酸素の供給をよくすることができます。また、筋力トレーニングの方法にも気をつける必要があります。無酸素運動に適した太い筋線維(タイプ2)ばかりを鍛えてもドライビングには効果的でないばかりか、かえって有酸素運動の妨げになることもあるからです。
☆ポイント☆ 十分な酸素を供給できるシステム(ボディ)を構築しよう
2000.06.14