筋を収縮させるにはエネルギーが必要です。まずはエネルギー源となるATPについてまとめてみましょう。
アデノシン三リン酸(ATP)
筋の収縮に使用されるエネルギーはATPの分解により得られます。どんな場合にも、筋肉が直接使用し得るエネルギー源はATPです。状況によって、このATPを産生するしくみが変化します。
アデノシン三リン酸(ATP)は、アデノシンという物質に3つのリン酸基が結合しています。ATP分解酵素の働きによって、リン酸基がはずされて分解されていきます。ひとつのリン酸基がはずれる毎に、約8kcal/molのエネルギーを放出します。このエネルギーを使って筋の収縮が行われます。ATPからひとつのリン酸基がはずれるとADPという物質になります。ADPからさらにひとつのリン酸基がはずれるとAMPという物質になります。すべてのATPがAMPに分解されてしまうと、もう運動を続けることはできません。
分解されたADPやAMPは、安静時には再びリン酸基を受け取って結合し、ATPに再合成されます。
アデノシン三リン酸(ATP)とクレアチンリン酸
また、筋肉の細胞の中にはクレアチンリン酸という物質が多く存在し、急激な運動時には以下の反応により、リン酸基をすばやく提供してATPを補充します。
安静時にはATPが十分になるため、リン酸基はクレアチンリン酸の形で充電されます。運動時にはATPが不足するため、ADPはクレアチンリン酸からリン酸基を受け取り、急速にATPが補充されます。
筋肉内にあらかじめ存在するATPやクレアチンリン酸だけを用いる場合、運動を続けられるのは30秒から1分程度です。
たくさんのATPが一度に分解されれば、多くのエネルギーが産生され、大きな筋力を発揮できます。そのために、ATPそのものとATP分解酵素が筋肉細胞内に豊富に存在することが必要です。F型の運動単位はS型に比べて、ATP分解酵素が豊富に存在することが知られています。このため、F型運動単位が優位の選手、瞬発力のある選手は、一度にたくさんのATPを分解して爆発的なパワーを発揮することができるのです。
☆ポイント☆ 筋収縮のエネルギー源はATPである
2000.05.11