無酸素運動と有酸素運動1

 運動に関する一般的な知識を理解しておきましょう。運動に無酸素運動と有酸素運動があることはよく知られていますよね。まず、無酸素運動についてまとめておきましょう。

無酸素運動

 無酸素運動とは、組織におけるエネルギー産生方法が無酸素的であるということで、競技中に呼吸をしていないということではありません。瞬間的に大きなパワーを生み出すことができますが、ごく短時間しか持続できません。短距離走や重量挙げのような競技が該当します。

 無酸素運動では、筋肉内に存在するアデノシン三リン酸(ATP)を利用するか、筋肉内のグリコーゲンや血糖を利用して無酸素的にATPを作ります。
(エネルギー代謝の詳しいしくみは、後に他の章で説明します)

 無酸素運動をしたとき、たとえば短距離走をしたときにも実際には息が切れます。これは、無酸素運動では一時的に酸素を借金している形になっているからです。その瞬間には酸素を使わずにエネルギーを取り出しますが、その後始末のためにやはり酸素を必要とするのです。短距離を走った後に呼吸が荒くなるのは、借りていた酸素を返すために、たくさんの酸素を取り込もうとして、早く大きな呼吸になるからです。借り入れられる酸素の量には限りがありますから、無酸素運動を続けられる時間には限度があります。

☆ポイント☆ 無酸素運動は借金財政

筋肉内にあるATPを利用する

 筋収縮をおこすエネルギー源となるのがATPです。

 安静時の筋肉内にはある程度のATPが蓄えられていて、急な運動時にはすぐに使えるようになっています。このパワーを利用して、瞬間的に発揮される筋力を瞬発力といいます。酸素の供給がなくても力を発揮することが可能ですが、その蓄えは数十秒でなくなってしまいます。それ以降も運動を続けるためには、有酸素的あるいは無酸素的にATPを合成しなくてはなりません。

嫌気的解糖

 発揮する運動のパワーに比べて、供給される酸素の量が不足している状態では、嫌気的解糖(酸素を必要としない糖質代謝のしくみ)により無酸素運動が行われます。

 嫌気的解糖では、酸素を消費せずにATPをつくることができますが、同時に乳酸を生じてしまいます。乳酸が多くなると血液や組織が酸性に傾き、細胞の働きが十分でなくなります。痛みやだるさを感じ、筋肉が収縮しにくくなり、最終的には運動を続けることができなくなります。

 嫌気的解糖による無酸素運動の持続可能時間は1〜3分程度で、3分半を越えるドライビングはすべて有酸素運動の範疇に入ります。つまり1〜2周程度のアタックは無酸素運動で走ることが可能ですが、それ以降もこのパワーを持続するためには、有酸素運動の効率を高めなければなりません。有酸素運動の能力が鍛えられていないとどんどん疲労がたまり、時間経過とともにがたがたとパフォーマンスが低下します。無酸素運動は筋力(筋のボリューム)に直接関係し、心肺機能の影響は大きくありません。

☆ポイント☆ 3分半を越えるレースはすべて有酸素運動

2000.04.20