スポーツマンにとって、体重の増減を管理することは大事なことです。どんなことに気をつけて、自己の体重を管理していけばよいのか、簡単にまとめてみましょう。
人間の体重は決して一定ではありません。そのときどきでいろいろに変化します。体重が増減する理由も様々です。
生涯を通じての体重変化
もっともゆっくりとした、長い時間をかけての体重変化です。生まれたとき、3キロ前後だった体重は、年齢と共に次第に増加します。おおよそ十代までの体重は、常に右上がりに増加するのが正常です。青年期には、ほぼ一定のレベル(個々人によって違う)に達します。これはその後、運動量や摂取カロリー、生活習慣、病気などによって増減します。
青少年期においては、(肥満や病気などの特別な状況を除いては)体重が停滞あるいは減少するのは良くないことです。
数ヶ月〜数年単位での体重変化
筋肉を鍛えて、そのボリュームが大きくなると、その分だけ体重は増えるはずです。格闘技や重量挙げなどの競技では、体重別にクラス分けされていますよね。それは、体重=筋力量とみなされるためで、基本的には、体重の多い選手ほど筋肉が多く、筋力も強いのです。
強いお相撲さんが大きいのは、単に肥満しているわけではなく、そのほとんどは筋肉によるものです。確かに皮下脂肪の多い人もありますが、理想的には筋肉をつけて太るのです。ですから、入門したばかりのときは細身だった力士も、稽古を重ねるにつれて大きくなっていきます。(太れない体質の人もありますが)
しかし、一般の人がスポーツを始めた当初などは、その分だけ余計な脂肪が減るために、筋肉増強による体重変化は、数字に現れにくいのが普通です。これまで十分に鍛えられてきた選手がさらに筋力を増強すれば、その分だけ体重は増えることになります。
とはいえ、1キログラムの筋肉を増やすためには、相当のトレーニングが必要となります。筋肉量の増大が、体重変化として数字に現れるまでには、数ヶ月〜数年の時間が必要です。
数週〜数ヶ月での体重変化
これはほとんどの場合、体脂肪分の増減を反映します。一般の人が、太ったとか痩せたとか言って体重計に乗ってみるのは、たいてい、この変化を見ていることになります。
栄養学でも書いたように、消費する総エネルギー量を上回るカロリーを摂取すれば、あまったエネルギーは脂肪として蓄積されます。逆に、摂取したカロリー以上のエネルギーを運動で消費すれば、体脂肪が利用されて、体重は軽くなります。
運動をしてたくさん汗をかくと、それだけで脂肪が減って、痩せたような気がしますが、実際にはそれは、脂肪の減少による体重変化ではありません。脂肪の燃焼による体重減少が数字に現れるには、もう少し時間が必要なのです。ある程度の期間、摂取カロリー<消費カロリーの状況が続かなければ、体重は減っていきません。
数時間での体重変化
それよりも短時間での体重変化は、体の中の水分量の増減を反映しています。
運動して汗をかいた後や、風呂やサウナに入った後、体重が減ったように思うのは、それだけで痩せたわけではなく、水分を失っているからです。つまり脱水の状態になっているわけです。
脱水のままにしておいては具合が悪いですから、自然と乾きを覚えて水分を摂取するようになります。食事や飲料水を摂取すると、その中の水分が自然と体の細胞に取り込まれます。そうして脱水の状態は是正され、自動的に元の状態に戻っていきます。なので、いったん減ったように思った体重は、またすぐに元に戻ってしまうでしょう。
レーサーにとって重要な脱水の管理のためには、水分による体重変化をきちんと把握することが必要です。海外のモータースポーツの教科書では、各セッション毎に、マシンに乗る前と後とで体重を測定し記録するように薦めています。これは、入門クラスのカテゴリーからトップクラスのレーサーまで、等しく有用なことです。
体重の量り方
体重計は一般的なものでかまいませんが、数百グラムの単位まではっきり計るには、デジタル式のものの方がわかりやすいです。体重計は、置いた地面が軟らかかったり傾いていたりすると、正確に計れません。下が固く平らで、水平な場所を選びます。
体重を量るときには、なるべく裸に近い方が、余計な誤差が生じないで済みます。着ている服に吸い込まれた水分量が、体重の増減をぼかしてしまうからです。素っ裸であれば間違いないのですが、実際にはそうもいかないでしょうから、なるべく薄い下着など、最小限の衣類にとどめ、いつも、なるべく同じ条件で測定するようにします。
こうした自己のデータは、脱水防止のための水分管理に役立ち、また、トレーニングのメニューを組み立てる上でも、食事内容を考える上でも参考になるはずです。
体の状態が安定しているときの、ベストの体重というのも把握しておく必要があります。そこからずれている場合には、水分が足りないのか、脂肪が付いたのかなど、その原因を考えていかなければなりません。
こうしたことを頭に入れて、今の自分の体重がどういう理由でどういう変化をしているのか、的確に把握できるようにしましょう。
2002.08.11