少母化の問題

 少子化、少子化と言いますが、少子化が問題になるのは、将来、税金や年金の担い手が少なくなるからというのが一番でしょうか。はっきり言って一般市民には今のところ、少子化による問題というのはあまり影響ないように思います。

 しかし、明らかになってきているのが少母化の問題です。つまり、母親である女性の減少です。このことは、すでに社会に大きな陰を落とし始めているように思います。

 かつて女性は、適齢期と言われた二十代の前半から、多い人は生涯で十人ほどの子供を産みました。ですから、最初の子供が初めての出産を迎える頃、まだ母親も妊娠出産しているようなこともあったのです。子より孫の方が年上だったりすることもありました。すなわち、世代間の年齢差は0〜20歳前後に過ぎません。そうして、ひとつの家族を単位として考えた場合、常に子供がいるのが普通だったのです。

 最近では、ひとりの女性が産む子供の数が減ったばかりではなく、晩婚化も進み、子より孫の歳が上になるようなケースは滅多になくなりました。世代間の年齢差は、20歳から30歳を越えます。そうすると、ひとつの家族に「子供」の存在しない期間が、10年から20年もあることになります。

 その間に、人々は子供のいる暮らしを忘れ、子育てのコツを忘れていきます。これが時間的な少母化の問題です。昔は、祖父母の経験が父母の大きな支えになったものですが、現代では、祖父母は過剰に心配し過ぎたり、甘やかし過ぎたりする傾向があり、子育ての戦力としてはあまり期待できません。というのも、子育てを終えてからすでに20年も30年も経っているのですから、仕方のないことでしょう。

 また、空間的にも少母化は進んでいます。結婚しない女性が増え、晩婚化も進んでいます。結果的に、妊娠出産の機会は少なくなり、子供を持つ女性が少なくなっています。

 かつては、20代から40代の女性のほぼ全員が、何らかの形で子育てをしていました。しかし、今の時代ではどうでしょうか。その割合というのはずいぶんと減ってしまったように思います。同じくらいの子供を持つ母親というのも、その辺中にいたはずなのに、今は、探さなければなかなか巡り会えないかもしれません。さらに、その少ない母集団の中から、気の合うお友達を見つけるのは大変なことでしょう。

 空間的な少母化は、母親を孤立無援にさせ、子育てに関するストレスを増大させます。また、良いお手本が身近にないために、適切な母子関係を保つことが難しくなります。また、情報の過不足から、ひとり勝手な育児に走ったり、幼児虐待などの危険性も多くなります。

 少母化の問題は、さらに少子化に拍車をかけるに違いありません。もっと少母化の問題に視点をあて、母親を積極的にサポートしなければ、少子化の問題は解決しないように思います。

2005.07.28

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