小児科医の七つ道具をご紹介しましょう。
一つ目は聴診器。これはもう絶対に必要なんですね。「今時もう聴診器の時代じゃないでしょう」という人もいますが、聴診器は今でも必需品なのです。小児科の場合は、大人用より小さい子供用を使います。もっと小さい新生児用もあります。特に小児科の場合、ゴムのチューブの色を楽しい感じにします。ピンクや水色やグリーンなど、カラフルな色が選べるようになっているんです。大人(を診る)の先生はあんまりそういうことは気にしないみたいですね。カラーのは安っぽく見えるからと、モノトーンを選ぶ先生が多いみたいです。
二つ目はボールペン。以外とこれは重要なんです。はっきり言って、ボールペンがないと仕事ができません。診察した内容を書いて残すというのがとても大切なことなんです。このボールペンも、病院で用意してくれる所もありますが、自分で用意する場合もあります。小児科医の場合は、可愛くて子供が喜ぶようなものを使うことが多いです。年甲斐もなく、胸のポケットに可愛いボールペンをさしているドクターがいたら、それはきっと小児科医でしょう。ときどき子供に奪われて帰ってこないこともありますが、むりやりに奪い返したりはできません。ま、気の利いたお母さんならほとぼりの冷めた頃に返してくれますけどね。
三つ目は白衣。これは怖がられるので着ないという先生もあります。でもたいていの病院では必要です。相手はよだれやおしっこで攻撃してきますから、着ていた方が無難です。なるべく怖く見えないように、襟が丸いものなど優しいデザインのものを選びたいとは思っています。でも、病院の決まりで自由にならないことも多いですね。小児科医用のキャラクタープリント白衣なんていうのがあったらぜひ欲しいです。
四つ目は計算機。四則演算のできる簡単なものです。胸のポケットに入るようなカード型の安物を愛用しています。子供の薬を処方するときは、体重に合わせて薬の処方量を計算しないといけないのです。点滴のお薬の量なども、体重や病状にあわせて細かく計算します。カルテを見ながら計算機を押しているドクターがいたら、それもきっと小児科医です。大人の先生はあんまり計算はなさらないようです。
五つ目はペンライト。これもないと診察ができません。一番多く使うのは子供ののどを診るときですが、瞳孔反射や目玉の動きを見たりするのにも使います。しかし、これはなかなか良いものがなくて苦労します。懐中電灯では焦点が遠すぎるし、一般的なペンライトはちょっと暗いんです。
六つ目は舌圧子というもの。のどを診るときに舌を押さえつけるヤツです。これにもいろんな種類があって、どれがいいというのは難しいみたいです。ほとんどはステンレス製の板状のものを使っています。この金属的な感触が嫌いな人もあるでしょう。最近は使い捨て指向のため、アイススプーンのような木のヘラを使うところもあります。しかしこれがまた微妙に木の味とざらつきがありますので、どちらが好きかは人それぞれかもしれません。いかにオエッとならずに口を開けて見せてもらうかが技の見せ所ですね。
七つ目はうーんと悩んで点滴。これがないと小児科はできません。ところが、赤ちゃんの点滴というのは大人に比べるととっても大変なのです。針が刺せるだけの血管がなかなかないんですね。逆に、点滴をすればすっごく良くなるということもあるのです。いわば点滴は「魔法の水」です。点滴をするためには特別な留置針を使います。金属の針とプラスチックのチューブが二重になっていて、チューブだけを血管内に留置するようになっています。その中でも「24G(ゲージ)」という一番細い針が小児科には必需品です。
その他、私はハサミを常に持ち歩いていますが、そうでない先生も多いでしょう。小児薬用量や小児科当直医ハンドブックなどを携帯している先生も多いですね。いずれにしても上記7点を揃えれば一応小児科はできます。
2001.09.20
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