けいれんすると舌を噛む謎

 けいれんしたときに、舌を噛んで死なないように、箸や指を口に入れた方がよい、と思っている人は実に多いものです。これもまたほとんどの人が信じている迷信のひとつ。実際にはかえって危険なのでやめて欲しいです。

 けいれんしたときに、確かに舌の端の方を噛んで傷つけてしまうことがあります。でも、舌を噛みきったという人は見たことがないし、それで死んだという事例の報告もありません。誰が見たんでしょうね?

 舌を噛んで傷がつくと、口の中ですから若干出血は多いかもしれませんが、比較的修復力が強いので、2、3日もすると治ってしまいます。その間は、ご飯を食べたりするときに、ちょっぴりしみて痛いかもしれません。まぁ、せいぜいその程度の問題です。

 ところが、けいれんしている人の口をこじ開けて棒などを差し込もうとすれば、それはとても大変なことです。けいれんしているときの筋肉の力というのはとても強いので、他の人が思いのままに動かせるようなものではないのです。無理をすれば、差し込んだ箸や棒で口の中にを傷つけたり、大事な歯を折ってしまったりします。また口の中にものを入れると、刺激で吐きやすくなります。意識がないときには、嘔吐するとかえって危険な状態になってしまうのです。ある人は、指で口をこじ開けようとして、指がもう少しで噛みちぎられそうになりました。それもこれも、ただ大人しく何もせずにいれば、そんなひどい目に遭わずに済んだことなのです。

 けいれんしている人を見つけたときには、決して口の中に何かを入れようとか、口をこじ開けようとしないで下さいね。けいれんで舌を噛んで死んだ人はいないのです。ただ静かに、着ている衣服を緩め、顔を横に向けるようにします。

2001.05.09

BACKHOME