今年は例年以上の熱さのため、熱中症で病院に運ばれる人が増えています。もとより脱水になりやすいモータースポーツでは特に注意が必要です。この夏、モータースポーツを楽しむ選手及びファンのために、特に気をつける点をまとめてみました。
温度と湿度をチェックする
一般に、気温が35度を越える環境での運動は禁忌とされています。人間の体温調節の能力を超えるからです。30度を超える環境での激しい運動も避けるべきです。しかしモータースポーツの場合、日程の変更や中止が難しいため、このような条件でもレースが行われることがあり注意が必要です。日頃から十分なトレーニングを行っていない選手は、このような条件下では勇気をもって参戦を取りやめることも、本人および他のエントラントのために大事なことです。
気象データの気温は、原則的に日陰で測定されるため、炎天下のコース上の温度は、気象観測における気温値を大きく上回ることがあります。そのことも頭に入れておきましょう。
また、湿度が高くなるほど、体温調節の機能は働き難くなります。高温多湿であるほど、条件は厳しくなります。汗による体温調節の機能が働き難くなるため、より多くの水分をとる必要があります。こうした気象データをきちんと把握しましょう。
直射日光を避ける
直射日光は、温熱のエネルギーが大きいばかりでなく、体に有害な紫外線も多くもたらし、体力と抵抗力を奪います。なるべく素肌を直射日光に当てないように気をつけましょう。
体温調節の能力を高めておく
レースの予定される3、4日(できれば1週間)前から、なるべく暑い環境に体を慣らしておきます。エアコンを使わないか、なるべく設定温度を高くし、当日の気温条件に合わせるようにします。水分をたくさんとり、たくさん汗をかくようにします。これによって、体温調節の機能が高まります。「それではレースを走る前にばててしまう」などというような人は、レースに参戦するのも無理と考えて下さい。
涼しい環境から一気に暑さの中に移動すると、体温調節機能のセットアップが追いつかず、急激にばてる原因になります。
アルコール・カフェインを避ける
これらの物質は、体内の水分を絞り取って尿に出してしまう働きがあります。そのため、これらの物質を取っていると、いくら水を飲んでも、体は脱水傾向になります。ですから、レースの予定される1、2日前からは、これらの摂取を控えます。
カフェインの含まれる飲料には、コーヒーばかりでなく、紅茶、緑茶、コーラ等も含まれます。
最近は国内レースでもドーピング検査が行われるようになっています。そうした意味でも、これらの物質をレース前に取ることは避けましょう。
水分を多くとる
脱水の対策にもっとも重要なのは水分を十分にとることです。のどの乾きを感じてからでは遅すぎ、自覚症状のあるなしに関わらず、以下のようなスケジュールで計画的に水分を補給することが奨められています。
予定のレースの1日前からは、十分な水分をとります。トイレに行く回数がふだんより多いくらいにします。
レース開始の1、2時間前からは、さらに十分な水分をとります。1回に100〜200mlの水分を、15〜30分毎にとり、体中の細胞に十分に水分を行き渡らせます。1回に飲む量が多すぎると、尿量を増やすばかりでよくありません。
レース開始後も、15分から30分毎に150〜300mlの水分を摂取することが理想的です。飲み物は10度くらいの冷たいものの方が吸収が速く、上昇した体温を下げる意味でも役に立ちます。
摂取する水分の種類としては、十分に鍛えられたスポーツマンなら普通の水道水でも十分です。体力のない選手ほど、塩類の喪失が多くなるので、塩分を取る必要があります。また、運動による血糖の低下を防ぐために、糖分の補給も効果的です。
そのため、スポーツドリンクが用いられることが多いのです。ただ、一般に売られている製品は、飲んで美味しい味に調整されているため、そのままスポーツ用として用いるには濃すぎます。半分〜3分の2くらいの濃度に薄めた方が理想的です。ステビアなど人工甘味料を含むものは、かえって血糖を下げることがあるので、スポーツ時の飲料には適しません。
それ以外の飲み物では、牛乳(できれば低脂肪乳)や100%果汁が奨められます。果汁は生ではなく、濃縮果汁還元による製品でかまいません。ただし、一般に果汁飲料は糖分が濃すぎるので、水で半分程度に薄めた方が理想的です。
その他、カフェインを含むようなソフトドリンクは先の理由で奨められません。
塩分をとる
大量の汗をかくと、汗のなかに塩分が失われます。体力のない人ほど、多くの塩分を失います。そのため、梅干しや漬け物、みそ汁などで塩分を補うことが大切です。(塩味なら何でもいいのです)
炭水化物をとる
猛暑が厳しくなるほど、消化の働きも弱まり、エネルギー代謝の働きも弱まります。そのため、消化しやすい糖分をこまめにとって、血糖値を保つことが大切です。
このとき、砂糖やチョコレートなどの甘みの強い糖分を一気にとると、逆に血糖値を下げることがあります。ごはんやパン、クラッカー、ビスケットなど、甘みの弱い糖類(炭水化物)を取るようにします。
2001.07.31