2000/04/05 新規掲載
ツインリンクもてぎでは、先日のGT選手権の際に「アリーナ席無料開放」と称して、オーバルコースとピットレーンの一部をグランドスタンドのお客さんに無料で開放していました。ファンにとっては、よりコースの近くで見られるので、(実は走っているマシンはあまりよく見えない)嬉しいサービスではあります。
もてぎのコースをよく知らない人のために書きますと、もてぎのグランドスタンドから見てすぐ目の前にはオーバルのコースがあります。その次にオーバルのピットレーン、そしてカート乗り場などのエリアがあり、その向こうにロードコース、さらにその向こうにロードコースのピットレーン、そしてピットガレージが建っています。
アリーナ席として開放されていたのは、オーバルのコースとそのピットレーンの部分です。グランドスタンド券、あるいはパドックパスをもった人なら、レース中にも無料で入ることが可能でした。実際、レース中も塀の上に座ったりして見ている人の姿がありました。
しかしこのエリアはあくまでも「フェンスの内側」なのです。コースを仕切るための低いコンクリート塀があるとはいえ、空中をものが飛んでくれば遮るものはありません。
一般に、レースの際にフェンスの内側にいるのは、チーム関係者かオフィシャルか報道関係者、そしてパドックパスを持った一部のお客さんに限られます。レース関係者はそれぞれにその道のプロであるわけですし、それなりの保険などもかけているはずです。パドックに入ろうとするお客さんは、特別にパスを手に入れる必要があるわけですから、それだけレースに関心が高いと考えられ、ある程度、そこがフェンスに守られないエリアであることを承知しているであろうと思います。少なくとも特別なエリアに入っていることを自覚していることでしょう。
ところが一般のお客さんが無料でアリーナ席に入るのに、そんな意識を持つことはないと思います。何気なく階段を下り、フェンスの中に入って観戦していて、万が一ホームストレートでクラッシュがあった場合、マシンそのものでなくても、大きなパーツが飛んできて当たる可能性があります。当たり所が悪ければ命を落とすことも考えられます。もちろん、スタンドで見ていても、パーツが飛び込んでくる危険性はゼロではありません。しかしどう考えても、アリーナ席の方がその危険性は大きいように思います。
もともともてぎがオープンした頃はひじょうに警戒が厳しく、たとえばレース中にスタンド内の通路を移動することさえ「危険なのでやめて下さい」といわれたものでした。それがいつの間にこんなにルーズになってしまったのでしょう。
もちろん、アリーナ席を開放すること自体は悪くありません。しかしその際には、利用者に危険性を警告する義務があると思います。
- 「このエリアはフェンスの内側なので、マシンやパーツが飛び込んでくる可能性があります」と警告すること。
- 万が一、客が負傷した場合には、サーキット側はどう対応するのかを明記すること。
これを怠ると、訴訟になった場合には確実に敗訴するはずです。もし死亡事故に及んだ場合、人ひとりの命を償うのはとても大変なことです。失われた命は決して戻ってこないのですから。
私は、むしろ千円なり2千円なりの保険料をとって入場させた方が親切ではないかと思いました。皆さんはどう思いますか?
2000/04/18 追加
再びもてぎを訪れ、同所を検討してみました。
もてぎがアリーナ席として開放している部分のロードコース側には、高さ1メートル半ほどのコンクリート塀の上に、同じくらいの高さのフェンスが立っていて、その範囲について立ち入りを許可しているようです。つまり、もてぎとしてはこの部分は「フェンスの外側」だという認識なのでしょうか。
実際、このエリアにいてもレースは見えませんから、先日のFポンではお客さんはほとんど立ち入っていませんでした。ただ、表彰式を近くで見たい人がレースの終盤から入って行っていました。私もそこに表彰式を見に行きました。
このフェンスの高さとコースからの距離をもって、十分に安全とみるかどうかは各自の判断と思います。他のサーキットをみれば、「そんなフェンスで大丈夫なの?」と思うようなところはもっとあります。しかし、そういった判断のための十分な知識や経験を持たない人も来るのが当然です。そういうファンに対してサーキットは誠実だといえるのかどうか、お客さんひとりひとりの命を本当に大切に考えているのか、皆さんにもちょっと考えて欲しいのです。