チャイルドシートの選び方2

 前回は、チャイルドシート選びの総論について述べました。今回は、各年齢の時期に、それぞれどんなシートを選ぶべきか、考えてみましょう。

新生児からのベビーシート

 赤ちゃんのための最初のシートとして、ベビーシートをオススメしていきたいと思います。ここでいうベビーシートとは、後ろ向き専用のシートで、5点式のベルトが備えられ、また、持ち運びようのハンドルのついたタイプです。

 以前のベビーシートは、新生児期専用に近い形で、体の大きな赤ちゃんはシートからはみ出してしまうため、6カ月前後までしか使用できませんでした。最近は、13キロ前後(1歳から1歳半)まで使用可能な形(クラス0プラス)に改良されていて、比較的長期間使用できるようになりました。赤ちゃんを固定するベルトも、以前は2点式や3点式が主流で、安全性に疑問がありましたが、最近は5点式になっています。また、ベビー用品会社だけでなく、カーシート専門メーカーも商品をラインナップしていて、信頼性も高くなっています。

 このシートの利点は、まず、シート自体の自重が軽く、よけいな台座などがないため、低重心コンパクトであることです。従来の乳幼児兼用シートを後ろ向きに取り付けると、シート自体が嵩張って大きく、また、固定用のシートベルトが手前を横切っているために、間口が狭くなってしまい、赤ちゃんの乗せ降ろしがし難い問題点がありました。思わず、車の天井やドア枠などに、赤ちゃんをぶつけてしまった経験のある方も多いのではないでしょうか?

 ベビーシートの場合は、乗せ降ろしの度に、毎回、シート自体を取り外す格好になるので、固定用のシートベルトが乗せ降ろしの邪魔になることはありません。毎回の取り付けを面倒と感じる方もあるかもしれませんが、慣れれば問題ありません。固定用のシートベルトを外したら、後部座席の上で、乗せ降ろしのしやすい角度や向きに自由に動かすことができ、従来の乳幼児兼用シートよりはるかに、回転台座のついたチャイルドシートよりもっと楽に、乗せ降ろしができます。

 また、赤ちゃんを乗せたまま、ハンドルを持って運ぶことが可能です。5点ベルトで固定されていますし、シートやハンドルの強度もしっかりしていますので、クーファンよりずっと安全です。従来の乳幼児兼用シートでも、赤ちゃんが眠ってしまうと起こすのがかわいそうで、シートごと運んだ経験のある方は多いのではないでしょうか。しかし、乳幼児兼用シートは自重が重いので、赤ちゃんを乗せたまま運ぶのは、特に女性にとってはとても大変です。眠ってしまうことが多く、それでいて、動かすとすぐ泣いてしまう乳児期には、ベビーシートが適しているように思います。

 たいていのベビーシートには、日よけ用の幌がついているので、強い日差しにも安心です。

 実際に使用してみますと、思った以上にしっかりとシートが固定され、また、赤ちゃんの乗っている位置も低く、安心感があります。ただし、固定のためのシートベルトの長さが十分でないと使えないため、古い型の特に小型車などで、取り付け不可の場合があります。取り付けに必要なシートベルトの長さと、実際に使用する車のシートベルトの長さとを、事前に必ず確認して下さい。

 産科を退院するときから1歳前後までは、ぜひベビーシートで後ろ向きに乗車させて下さい。

幼児前期のチャイルドシート

 では、1歳を過ぎたら、あるいは、ベビーシートに収まらない体格になってきたら、どうしたらよいでしょうか? 

 1歳から3歳頃までの乳幼児期には、乳幼児用の5点式ベルトのついたシートをオススメします。

 この時期に使えるシートとしては、ハイバックのシートに5点式のベルトのついたタイプと、同じくハイバックのシートに、インパクトシールドと呼ばれる枕のような部品で腹部全体を押さえるタイプがあります。ここでは、インパクトシールドではなく、5点式の方をオススメします。

 インパクトシールドは、ベルトを締める煩わしさがなく、子どももあまり窮屈でないような宣伝がなされていますが、衝突実験の商品テストなどを見ますと、やはり5点式ベルト型の方が安全性が高いようです。その理由としては、肩がベルトで支えられないため、衝突時に頭部の動きが大きくなること。また、頭部をインパクトシールドそのものに強打する可能性があること。また、子どもが窮屈でないように、緩やかに装着すると、インパクトシールドが効果的に働かず、体格の小さな子どもでは、シートから飛び出したり、ずり落ちたりする可能性があるなど、適正な取り付けが難しいことです。

 このタイプで使用するのは、身長100センチ前後まで。それ以上の身長になると、肩ベルトの位置が合わなくなってきますし、商品によっては、頭がシートの上端からはみ出しますので、そうなったら、ジュニアシートに進みます。

新生児〜乳幼児期を1つのシートで間に合わせる場合

 ベビー用、幼児用と、何度も買い換えるのは、経済的にちょっと無理、、、という場合は、乳幼児兼用シートを購入し、1歳頃までは後ろ向きに、1歳過ぎからは前向きに使用することになるでしょう。

 ベビーシートを使用する場合に比べると、体のしっかりしない赤ちゃんの乗せ降ろしに多少、困難があります。また、かなり体格が大きくなるまで使用できる構造のため、生まれてすぐの赤ちゃんにはシートがやや大きすぎます。そのため、サポートの補助クッションなどが付属してはいますが、シート本体と乗員との間には、本来、あまり余計なパーツがない方が安全性は高いと考えられますので、ベビーシートの方が望ましいと思います。

 どちらの場合も、背中を斜め45度程度に維持し、衝突の衝撃を背中で受け止める方式であることは同じです。この姿勢を長く続けた場合、新生児期には呼吸状態が悪くなる可能性のあることが指摘されています。そのため、新生児期の自動車の乗車時間は、必要最小限にするべきであると思います。こうした問題を回避するために、ベッド型のシートという物も存在しますが、衝突時の安全性に懸念があるため、ここではオススメできません。

幼児後期のジュニアシート(ハイバック)

 身長が100センチを超え、ある程度、決まりを守って、落ち着いて車に乗れるようになったら、ジュニアシートに進みます。幼稚園の年中から年長さんくらいです。年少さんの場合、身長が少し100センチを超えていても、5点式の方が安全な様に思います。

 ジュニアシートには、ハイバックの背もたれのあるタイプと、背もたれのない座面のみのタイプがありますが、幼児後期にはハイバックのタイプを使います。面倒くさがって、最初から座面のみのタイプにしてしまう人も多いようですが、腰や背中のしっかりしていない幼児期に、座面のみのシートを使用しますと、衝突時に体にかかる衝撃が大きく、危険です。また、肩のベルトの位置が合わないと、衝突時にベルトで首をつる危険がありますので、幼児期にはハイバックのタイプを使うようにしましょう。

 また、この時期の子どもは、ドライブ中に眠ってしまうこともしばしば。深く眠った子どもが、後部座席で崩れ落ちてしまって、かわいそうな思いをしたことのある親御さんもいらっしゃることでしょう。まだ、背中や首の筋力の弱い幼児では、眠ったときに姿勢を維持できないことがあります。そうすると、シートベルトが首にかかったり、シートからずり落ちたりして危険です。ハイバックのシートであれば、頭や腰をサポートする機能があるので、ドライブ中に眠ってしまっても、安心度は高いでしょう。

学童期のジュニアシート(座面のみ)

 座面のみのブースターシートは、学童向けです。身長120から130センチ程度になったら、このタイプでも大丈夫です。

 学童でも、身長が120センチに届かない場合は、ハイバックのタイプを使った方がよいでしょう。(逆に、身長が120センチ以上あっても、幼児の場合は、ハイバックのタイプを使った方がよいでしょう)座面のみのシートで大丈夫かどうかは、実際に子どもを後部座席に座らせてみて、シートベルトを締めてみます。このとき、シートベルトが肩にかかっていれば大丈夫ですが、ベルトが首にかかっているようであれば不適ということになります。

 また、筋力が弱く、眠ったときに姿勢が大きく崩れてしまうような場合は、ハイバックのタイプの方がよいかもしれません。ただし、ある程度以上、座高が高くなってしまうと、ヘッドレストの位置を一番高くしても、肩ベルトのアンカーの位置が適切な位置に保てなくなり、その場合は使用ができません。

 このシートを卒業する目安は、身長140センチくらいといわれています。これも、実際に子どもを後部座席に座らせて、シートベルトを締めてみて、きちんとベルトが肩に掛かっていれば大丈夫ということになります。

ISOFIXは?

 依然として、ISOFIXのチャイルドシートは、市場に定着してはいないようです。ほとんどの乗用車にISOFIX用のバーが標準装備されてはいますが、ユニバーサルタイプのシートを選ぶ人が圧倒的に多いようです。その理由としては、やはり、選択肢があまり用意されていないこと(デザインや色なども選べない)や、ユニバーサルタイプに比べて値段が高いことがあるのではないでしょうか。

その他の注意点

 シートベルトやチャイルドシートを単に装着するだけでなく、乗車中の姿勢も大切です。幼児期から学童期のシートになったら、比較的自由に動けるようになりますので、乗車中の姿勢が乱れやすくなります。おかしな姿勢で乗っていると、衝突時には衝撃が大きくなること、場合によっては、シートベルトが機能せず、車外に放り出される可能性があること、などを日頃からよく説明してあげましょう。背中や頭をきちんとシートバックにつけ、背筋をピンとして乗るよう、声を掛けてあげましょう。頭とシートの距離が離れすぎていたり、お尻が前方にずり落ちているようなスタイルでは、衝突時に負傷する危険性が高まります。

 また、子どもは、いろいろなおもちゃを車内に持ち込むことが多いです。衝突時には、それが車内を飛び交い、凶器に早変わりすることもありますので、気をつけましょう。尖った長いものや(バットやラケット、箸など)重くて堅いもの(DVDプレーヤー、ゲーム機など)、その他、熱い飲み物なども危険です。車内に持ち込む物は最小限にし、衝突時に危険がないかどうか、を少し考えてみると良いと思います。

2000.09.15