チャイルドシートの問題1で、チャイルドシートを車体そのものに固定すべきである、ということを書きましたが、そうした方法として現在でも利用できるのがISOFIXと呼ばれる方式です。しかしISOFIXというシステム自体も、開発されてからまだ日が浅く、そこには意外と問題も潜んでいるようです。
ISOFIXとは?
ISOFIXというのは、国際的に共通な規格でつくられたチャイルドシート固定方法です。したがって、ISOFIXに対応したチャイルドシートであれば、どこの製品であっても、ISOFIXに対応したすべての乗用車に取り付けが可能であるはずなのです。そうすることによって、車を買い換えたり、目的に応じて車を使い分けたりしても、同じチャイルドシートを使用することができ、しかも安全・確実に固定できるというのがその目的です。
純正ISOFIX部品の問題
各自動車メーカーは、それぞれに純正のISOFIXシートやISOFIX用ベースメント(ベースキット)と言われる補助部品を作成し、各メーカーの純正部品でなければ、その適合性、安全性を保証しないという態度をとっています。これでは、せっかくISOFIXという機構を導入した意味が半減してしまいます。また、実際には他社の製品が取り付け可能であっても、ユーザー心理としては、「純正でないから危険なのではないか」という不安を抱かざるを得ません。
また、国内の大手自動車メーカーは、ISOFIX対応シートも独自に開発製造しています。しかし、各社の純正ISOFIX対応シートが、必ずしも理想的なものかどうかはわかりません。しかし、そのメーカーがそのシートを純正と指定している以上、ユーザーはその製品を、自動的に購入せざるを得ないのです。この場合、他社との競争は生じにくく、価格や品質についても、そのメーカーを信じるより他にありません。
その他の多くの国内自動車メーカーは、シートそのものは自社で製造せず、チャイルドシート製造会社と共同で補助部品を開発し、そのシートを利用するシステムを取っています。こちらは、以前から市販されているチャイルドシートがその土台となっており、製品に関する情報は手に入りやすくなっています。しかし、その場合でも、シートベルトで固定する場合と比べると、商品選択の幅はひじょうに狭くなり、シート製造会社間の競争は事実上無いようなものです。
つまり、ある自動車を買った時点で、使用できるISOFIXチャイルドシートはほとんど決まってしまうのです。そうした業界構造の中で、はたして消費者の安全はきちんと守られるのでしょうか?
ISOFIX用のシートの仕組み
ほとんどが、分厚く重いベースメントの上に、また分厚い接続部品があり、その上にシートが乗っています。あるいは、さらにその間に、方向転換用のパーツをかませている物もあります。そのため、シートベルト固定式のシンプルなシートに比べると、全般に高重心になっています。システムが複雑になればなるほど、不適切使用の可能性が高くなり、不慮の事故の危険性も大きくなります。
シートとベースメントをあわせた重量は、ほとんどのメーカーで10キロを超えています。シートベルト固定式と違って、重量が重くなることが、シートの安定性に直接関わる物ではありませんが、あまり重量が重くなれば、ウェイトハンデとなって、自動車そのものの運動性能に関係するのは確かです。
自動車ディーラーへのお願い
赤ちゃんは大事な宝です。たとえ短い期間でも、その命を守るシートを用意してあげなければなりません。とはいえ、出産であれこれ出費のかかる時に、高価なシートを購入するのは、大きな負担です。しかも、ISOFIXを使用する場合、その自動車にあわせたシートやベースメントを用意しなければなりませんから、お友達のお下がりというわけにもいきません。
とすれば、各自動車ディーラーは、顧客サービスの一環として、適切なチャイルドシートをレンタルするべきではないでしょうか。耐用年数も、数年間はあるはずですから、その間に数家族が利用できるでしょう。自動車ディーラーであれば、各店舗に在庫を抱え込まなくても、販売網を通じて、必要なときに手配することも可能なはずです。そうすれば、耐用年数の過ぎたチャイルドシートのリサイクルも行いやすく、環境にも優しいはずです。
2002.12.25
2009.08.11改訂
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