女性ドライバーの運転向上のために2
体力的な問題以外には、どんな努力をすればいいのでしょうか?
女性は3次元的な視覚認知が不得意なことが多いので、男性よりもさらに気をつけて周りを見ておく必要があります。目から情報が入っても、それを認識して理解するのに少し時間がかかります。つまりパッと見ただけでは状況が把握できなくて、大丈夫なのかダメなのか、すぐにはわからなかったりします。そしてもたもたしてしまうのです。それを避けるためには、必要のないときにも絶えず前後左右を見ておくことが重要です。車線変更や右左折のときになって急に後ろを見ても、一瞬で状況を判断するのは無理なのです。
このことについて中嶋悟氏は「いろんなところをきょろきょろ見ていなさい。しかし、あまりよく見すぎないように」とおっしゃっていました。あれは何だろう?などと視線を一点に留めてしまうとかえって見えない部分が出てくるからです。海外のある教科書ではこのことを「Glance! Not stare」という言い方をしていました。「前を見るのと同じくらい、後ろを見ていなさい。そして右や左も、あなたの車の全周囲を常によく見なさい」と教えている本もありました。とにかく全体の流れの中で、自分の車がどんな車に囲まれてどう進もうとしているのか把握するためには、絶えず全周囲を見渡していることが肝心なのです。そうすれば右左折や進路変更の際には、より簡単に状況確認と安全確認が可能です。
スピードの遅い女性ドライバーは、前方よりもむしろ後ろをよく見ていなければなりません。全体の流れの中では(相対的に)後方へ進んでいるからです。ところが、女性ドライバーの多くはあまりミラーを見ないようです。操作に必死でミラーを見る余裕がないという声もしばしば聞かれます。いったん視線をミラーに移動させると、そこで状況を把握するのに時間がかかってしまうので、視線を戻すのが遅れます。視線を戻すまでの時間が長くなれば、前方の状況が大きく変わってしまいます。状況変化への反応に時間のかかる女性ドライバーは、このことに大きな恐怖を感じるので、ミラーをなるべく見ないで前だけを見ていようとします。そして結果的には周囲の状況が見えていないので、「急に割り込まれたのでびっくりした」り、「急に後ろから追突された」り、譲るべきところを譲らないで「周りの車に怒られた」りするのです。これを改善するためには、意識してミラーの見方を練習する必要があると思います。
十分な休憩や休養を心がけることも大切です。寝不足や空腹は男女の別にかかわらず、運転に適した状態ではありません。自分のコンディションをきちんと整えていないレーサーがレースに参戦するのは他の選手にとって迷惑なこと。公道でも同じです。きちんとコンディションを整えて運転するようにしましょう。
車や運転に関心を持ち、ある程度技術的なことを理解することも必要だと思います。しかし、急に勉強するといっても難しいかもしれません。ですからまずは、定期的に車を点検してもらうように心がけましょう。点検や修理の時、もし明細を見てわからない内容があれば、これはどういう費用なのですか?と聞いてみましょう。そうやって自分の車の体調を知っておくのも大切なことですよね。
また、一般に女性ドライバーが好んで利用する軽自動車やリッターカーの多くは、運動性能の面で優れているとは言い難い傾向があります。もたもたしたドライバーがもたもたした車に乗っていては、きびきび走れるはずがありません。体力的に不安の多い女性ドライバーは、車の性能の助けを借りて「運転がうまくなる」ことも必要ではないでしょうか?運動性能に優れたスポーツカーに乗ると、まるで自分の運転がうまくなったような錯覚を覚えることがあります。コーナリングも、楽に安定して曲がることができます。加速や減速も、ドライバーのアクションに素早く反応します。そうして操作が安定して肉体的に余裕ができると、周囲への注意や判断も的確にできるようになります。運転が下手なのに「いい車」に乗るのは恥ずかしいと思っている女性が多いようですが、運転に自信のない女性こそ、十分な装備のスポーツカーやスポーツ仕様車に乗ることをお勧めしたいと思います。
2000.06.20