女性ドライバーの運転向上のために1
今回は、女性ドライバーはどうやったら運転が上手くなるのか、その方法について考えてみたいと思います。もともと体力的に絶対に不利な女性ドライバーは、それを補うような工夫をするとよいと思います。
まず、長時間運転しても疲れにくい運転姿勢をきちんと確保することが重要です。基本的に速く=上手く運転するためには、ドライバーが快適に感じることが重要です。そのためには、体をしっかりと支えられるシートが効果的です。レカロなどのスポーツシートやフルバケットシートは、慣れないと最初は窮屈な感じがするかもしれませんが、筋力の弱い女性が適切な運転姿勢を保つにはとても便利です。体によくあったシートなら、かなり楽に感じるはずです。しかし、一般に車のシートは(車そのものも)男性の体格を基準につくられているように思います。ですから、小柄の女性にはぴったりのシートがなかなか見つからないかもしれません。そんなときは、自分の体格にあわせたシートをオーダーしてもいいでしょう。
えっ、そこまでする必要があるの!?と言う人が多いかもしれません。しかしBob Bondurant先生はその著書の中で、「上手に運転したいと思ったら、車を買ってまず一番にすべきことは、プラスチックのステアリングと標準装備のドライビングシートを取り外すことだ」と書いています。(シートはスポーツシート、ステアリングは革製にすべきとのこと)それくらいシートの良し悪しは運転の上手い下手に大きく影響するそうです。きちんと姿勢が保たれないと手足の操作が不安定・不的確になるだけでなく、視点の位置がぐらぐらするために目から入る情報が不正確となり、総じて運転が不安定になります。
また、運転したときに腰痛や肩こりがある人は、運転姿勢に無理がある可能性があります。特に、肩こりの原因は上肢と肩の筋の疲労によるものと考えられます。腕や肩の疲労を少なくするためには、腕の高さはなるべく低くしたいものです。といってももちろん、操作に支障のない範囲でなければなりません。2時・10時の位置で握っている人なら、3時・9時にしただけで数センチ低くなりますから、かなり楽になるはずです。ただし、それぞれの人によって、腕の筋肉の中でも強いところと弱いところがありますから、一概にどちらがいいとは言えません。時と場合に応じて少しずつ握り方を変えたり、一時的に少し低いところを握ったりして腕を休めるのも一計です。(なお、プロドライバーの先達の著書の中には、ステアリングを握る位置はいつも一定であるように、との御意見もあります。その方がステアリングの操作が安定するから、とのこと)ステアリングの高さを調節できる場合には、足にぶつからず操作がスムーズにできる範囲でなるべく低くした方が、視界も良く、筋力的にも楽になるはずです。
緊張して力が入っている場合にも、いかり肩になって肘が張り、腕が高くなる傾向があります。初心者のスキーヤーがストックを振り上げてしまうのと同じです。たまにしか運転しない人や運転に対する苦手意識がある人はどうしても力が入りがちです。指にも力が入って、ぎっちり握ってしまいがちです。しかし、不必要に力が入っていると、かえって正しい操作ができず、何か起こったときの反応もかえって遅くなります。意識して肩や腕の力を抜くように心がけましょう。
また、パワーステアリングやパワーアシストブレーキなど、体力的な弱点を補ってくれるような装備をうまく利用することも大切です。ABSもあった方がいいと思います。実は女性のほとんどが緊急時に十分なブレーキングができていないそうです。タイヤがロックするほど、ブレーキを強く踏めない女性が少なくないのです。そんな状況でポンピングブレーキなどと唱えても無理そうです。とりあえずABSを搭載して、とにかく思いっきりブレーキを踏んだ方がまだ現実的でしょう。
思いっきりブレーキを踏むと上半身が前のめりに倒れます。これは慣性力によって体だけがそのまま進もうとするからです。女性はこれを背筋や腕で支えることが難しいので、ブレーキを弱く踏んで、なるべくゆっくり止まろうとします。そして結果的に止まりきれずに衝突します。つまり、車のブレーキ力としては止まりきれる距離があっても、その減速Gに対応できる体力がないために、止まり切れずに事故を起こしてしまうのです。そういうことを考えると、しっかりしたシートベルトも必要と思います。特に、衝撃を関知して自動的にベルトのゆとりを巻きとってくれるシートベルトプリテンショナーが有効と思います。
エアコンやカーナビばかりでなく、こうした装備が搭載されているかどうか、きちんと確認してから車を買いたいですね。シートの高さやステアリングの高さを変えられるかどうか。腕の位置が高すぎないかどうか。シートベルトが首にかかっていないかどうか。体格にあった車選びも必要と思います。まずはより良い視界の得られる車、より楽な運転姿勢の得られる車を選ぶことが大切です。
また、各自動車会社の皆様には、色合いや格好だけの女性仕様車ではなく、女性の体格や運動能力にあった車づくりもお願いしたいものです。
2000.05.15