女性ドライバーと筋力
女性ドライバーは運転が下手だと指摘されることが多いですが、逆に、そういう言い方をするのは女性への偏見だと言う人も少なくないでしょう。はたして女性ドライバーは運転が下手なのでしょうか?
結論からいうと、女性は運転という作業において実に不利です。つまり一般的には女性ドライバーの運転力は男性に比べて劣っていると言えます。もちろん個人差はありますが。
女性と男性で比べようとする考え方自体が間違っている、と言う人もいるかもしれません。女性の運転について、「女性は機械が苦手だ」「女性は感情的になりやすい」というような発想と結びつけて考えがちだからです。確かにそういった観点から「女性ドライバーは○○だ」などという議論を展開するのは間違っていると思います。しかし問題はそういうことではないのです。単に、女性は筋力的に男性より劣っているから、運転が下手で当然だということです。
そうはいっても、女性でも力の強い人はいるじゃないか、と思う方もいるかもしれません。しかしドライビングで最も必要とされる腕・肩などの筋力については、女性は男性の半分程度(またはそれ以下)しかありません。鉄棒の懸垂で自分の体を持ち上げようとした場合、女性では優れた運動選手でも平均0回であるのに対して、男性ではスポーツ選手でなくても、少なくとも1回は懸垂が可能です。それだけ上肢の筋力の男女差は大きく、女性は自分の腕で自分の体重を支えきれないということがわかります。
これだけ筋力の差があると、動作の反応時間も違ってきます。筋力が大きい方がすばやい動作が可能だからです。危険を認知してからブレーキを踏むまでの時間や、ステアリングを操作するまでの反応時間は、わずか数ミリセカンドの差でも、危険を回避できるかどうかの決定的な違いになり得ます。
運転では横Gに対抗して体の姿勢をきちんと支えることが重要で、ドライビングに必要な筋力のほとんどはそのために使われています。ステアリングを握ることは、ステリングを操作して進む方向を調節すると同時に、車に対して自分の上体が正しい姿勢になるように支える働きもしています。しかし自分の腕で自分の体重を支えられないのですから、横Gに対抗して上体を支えながらステアリングを操作するなどという課題は的確にできなくて当然です。特に、何か予期せぬ場面に出くわしたり、不意にアクシデントに見舞われたりすると、それに対応するだけの余裕がありません。
また、女性は一般に体格が小さいため、シートからステアリングまでの高さがほぼ同じであれば、より高く腕を挙げる格好になります。長い時間、心臓よりも上に腕を挙げているのはとても大変なことです。心臓から指先までの高さが1センチでも高い方が、心臓への負担も腕の筋肉の疲労も大きくなります。より筋力の弱い人が、より高く腕を挙げなければならないのですから、女性はますます不利ですよね。
そして、筋力的に余裕がないと疲れやすくなります。一般的に女性の筋肉は男性より疲れにくい傾向はあるものの、筋力的なハンデが大きければ疲労も出やすくなります。疲労すると集中力や判断力が落ち、運転のミスも多くなります。
したがって一般に女性の運転は危ないし、横Gをなるべく小さくするためにゆっくり走ろうとします。周囲から見ると「女性ドライバーはのろのろしている」という印象になります。これは頭が悪いからとか、性格が運転に向いていないからではなく、筋力的に劣っていて体力的に余裕がないから、そういう運転になってしまうということなのです。男女にかかわらず、体力のないドライバーはそういった運転になりがちです。
体力的に優れている男性ドライバーは、肉体的弱者である女性や高齢のドライバーに対して十分な配慮を行うべきと思います。男性ドライバーにはそれだけの余裕と判断力が残っているはずだからです。逆に女性ドライバーが男性ドライバーと同等に張り合おうと思えば、簡単に限界を越えてしまいます。女性ドライバーは自らの限界をよく見極めて、体力の差を補うだけの注意力と理性を兼ね備えたいものだと思います。
それがモータースポーツを通じて私達が知り得る貴重な教訓のひとつです。それをよく理解していれば、女性ももっと運転が上手くなれるんじゃないかな。
2000.04.12